平成26年度都立高校入試問題(作成:東京都教育委員会)第5問

 
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空間図形の問題です。角度や体積を求める標準的な問題ですが、図の見方のコツや別解を交えながら解説していきたいと思います。

では問1から見てみましょう。

 

角度を求める問題です。これは空間図形が得意な生徒なら見てすぐに90度とわかってしまうくらい簡単な問題なのですが、苦手な方の為にコツというか空間図形を見るときに気をつけるポイントをお話ししたいと思います。この問題で言えば、三角形の2辺DAとAPだけに注目してしまいがちですが、もう少し大きく見てみましょう。

具体的に言うと辺DAは面AEHDに含まれているということ、そして辺APは面AEFBに含まれているということを意識して下さい。面AEHDと面AEFBは直方体の側面なので垂直になっています。そして辺DAは辺AEと垂直なので「辺DAと面AEFBは垂直」ですよね。

辺と面が垂直であるというのは下の図のような状態です。

 

辺と面が垂直なら、その面に含まれる色々な辺と垂直になります。上の図で言うと直線lは直線OA、OB、OCの全てと垂直になっています。なので、辺DAは面AEFBに含まれる辺AP(AF)とも垂直だと言えるのです。

このように辺と辺だけの位置関係を意識するのではなく、それを含む面との位置関係も意識することで空間図形は捉えやすくなります。空間図形が得意な生徒は意識的に、もしくは無意識的にそういう所を意識しているから角度や位置関係を速く正確に捉えることができるのです。苦手な生徒は漫然と問題演習するのではなく、ポイントを意識しながらたくさんの問題を練習するといいと思います。

それでは問2です。

 

体積を求める問題です。まずは基本に忠実な解法を紹介しておきます。直接体積を求めるのが難しいと感じたら、大きい立体からいらない立体を引いていけばよい、というパターンです。三角柱AFB-DGCから逆さまになっている四角すいP-ABCDと底面が台形になっている横向きの四角すいA-BFQPとD-CPQGを引きます。四角すいA-BFQPとD-CPQGは同じ立体だなと気付ければ、計算もそれほど難しくないと思います。(2行目の9は台形の上底と下底を足した結果です)

上記の解法で十分ですが、得意な生徒はこのように解くだろうという別解を紹介しておきます。

 

底面積AQDは長方形DAFGの半分なので、すぐに面積が出せる。なんとか頂点Pから底面に下ろした垂線の長さがわからないかな、という気持ちで図を眺めます。三角柱AFB-DGCを正面(真上)から見た図を書いてみるといいでしょう。ABとBFの長さから三平方の定理でAFが10cmになっていることはわかりますね。さらにABとBFは垂直なので、面積からBIの長さもわかります。そして点PはBFの中点の位置にある(本当は奥にあるのですが、三角柱の断面なのでBFの中点と考えても大丈夫)のでPJはBIの半分の長さだとわかります。

PJがこの立体の高さになっているので、あとは普通に計算するだけです。苦手な方には何をやっているのか途中少しわからない箇所もあったかも知れませんが、得意な生徒はこのように空間図形内の辺と面の位置関係を素早く、そして深く読み取り解答を導いています。(図の中の分数を約分していないのは時間短縮のためです。計算で10と10で約分できてますよね、約分は後回しにした方が好都合な場合が多いです。)

<総評>体積はやや難しく感じる生徒が多いでしょうか。辺と辺だけで位置関係を考えず、それを含む面まで意識するとよい、ということをしっかり覚えておいて下さいね。

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