平成26年度都立高校入試問題(作成:東京都教育委員会)第4問

 
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証明問題を含む平面図形の問題ですね。最後の面積比の問題は苦手な生徒が多いので、少し丁寧に解説してみます。その他の問題は基本に忠実な問題ですよ。

では問1から見てみましょう。

 

角度を求める問題です。△ABCが正三角形であること、△APQが直角三角形であることがわかれば、難しくない問題です。直角三角形の90度の角以外の2つの角度の和が90度になることを意識した式にしてあります。

この解法がおそらく一般的だと思いますが、他の導き方でも大丈夫ですよ。例えば下のように角度を記入したとします。

 

△ABPで外角を考えると(a+60)度が、∠APCになるのがわかると思います。∠APCは求めたい角度+30度なので、(a+60)-30でも同じ答えになります。どちらの解法でもいいので、このようにわかる角度をどんどん記入していって答えまで辿り着くことが重要です。

それでは次に問2の①です。

 

基本的な証明問題です。平行がしっかり意識できれば問題ないですね。3つの角のどれも等しいことは容易にわかるので、解答に示した2つの角でなくても大丈夫です。錯角2つよりは対頂角と錯角の方がバランスがいいかなと思って、この証明にしました。あと以前にも書いたことがありますが、「平行線の錯角」としっかり「平行線の」を書かないとダメですよ。平行線でなくても錯角というのはあるので、その場合当然等しくも何ともないです。平行線の錯角だからこそ等しいと言えるのです。これは細かいようで大事なことですから、しっかり覚えておいて下さい。

それでは最後に問2の②です。

 

まず辺の長さの比でわかっているところを記入していきましょう。BP:PC=1:2からBR:RA=1:2(平行線と線分の比)はすぐにわかりますね。次がポイントですが、△PCQが30度、60度、90度の直角三角形になっているのを見抜いて、PC:CQ=2:1さらに正三角形の一辺は今、比で言うと③にあたるのでCQ:QA=1:2あとは△BPRが正三角形なのでPRが①、最後に先程の相似を利用して、相似比からPS:SA=1:2

と、文にすると長くなりますが、ポイントになった三角形さえ見抜ければ、ここまではわかると思います。ところで、この辺りで気付く方もいるかも知れませんが、この図、ちょっと歪んでいるんです。書いてある数字(比)の通りなら、辺RQと辺BCは平行なはずですよね。でも少し曲がっている。これは図を正確に書くと答えの予想がつきやすいから、あえてずらしているんですね。進学校の入試なんかだとよくあることなのですが、教科書のようなきっちりした図を見慣れている生徒には違和感があるかも知れないですね。

さて、ここから面積比を求める訳ですが、解答の式を説明していきます。下の図を見て下さい。

 

方針としては△ABCをどんどん小さくしていって、最後に△PQSにするというものです。まずはBP:PC=1:2から3分の2を掛けて左の図の斜線部分にします。底辺の比と面積比をしっかりイメージして下さい。次にCQ:QA=1:2から、さらに3分の2を掛けて中央の図の斜線部分にします。最後にPS:SA=1:2から3分の1を掛けて△PQSになりました。全ての掛け算をまとめると答えになります。

別解としては下の図のように考えていくこともできます。△PQSを面積比①としてその他の三角形を表していきます。

 

辺の比から△ASQが②、△APQは①+②=③なので、この③から△CQPも求め、さらにその合計から△ABPも求める。すべてが表せたら、△ABCの何分の一になっているのかもわかりますね。(△ABPは求めなくても△ABCは求められますが、今回はすべての三角形を比で表してみました。)

<総評>やはり面積比の問題が一番正答率が低そうですね。面積比については、基本的な図の見方を学んだら、面積比だけの問題で応用レベルのものまで一気にたくさん練習した方がいいと思います。

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